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サークルズ協同組合

建設業における技能実習生の受け入れとは? 要件と業務開始までのスケジュール



実習を重ねて、日本の技術を海外で活かしていくことを目的とした外国人技能実習制度は、さまざまな業種で活用されています。その中の1つに建設業界があり、全国の建設会社で技能実習生の受け入れが実施されている状況です。


本記事では建設業における技能実習生の受け入れ要件、実際に業務を始めるまでの流れを解説します。




建設業の技能実習制度とは


最初に、建設業における技能実習制度とはどういうものなのかについて解説します。技能実習制度の解説から、実際に技能実習生が従事できる作業までをまとめました。


技能実習制度とは


技能実習制度は、外国人が日本の企業などで特定の技術を学び、母国において日本で培った能力を活用していく制度です。外国人労働者は日本語を学びながら、技術の習得を図り、母国において活躍できる人材となるべく活動します。


元々技能実習制度の背景には、海外に現地法人がある企業しか外国人を受け入れて研修を行えなかったことがありました。技能実習制度によって、海外に法人がなくても企業が外国人を受け入れられるようになっています。


あくまでも実習がメインであり、企業は労働力として確保しているわけではありません。


技能実習生は令和5年末時点で40万4,556人と過去最多に近く、特定の職種では建設業が最も多い計画認定件数を誇ります。



技能実習生の実習が行える期間


技能実習生が働ける期間は在留資格の区分によって異なります。


技能実習1号であれば1年間実習に従事でき、2号に移行する際にはさらに2年従事することが可能です。そして、3号への移行でもう2年、最大5年技能実習生として活動がすることができます。


ちなみに技能実習2号を修了すると、特定技能への移行が可能です。特定技能へと移行すると、実習ではなく労働者として雇用されることになります。


技能実習生が従事できる作業


建設業において技能実習生が従事できる作業は22職種・33作業となっています。以下に対象となる職種・作業をまとめました。

対象職種

対象作業

さく井

  • パーカッション式さく井工事

  • ロータリー式さく井工事

建築板金

  • ダクト板金

  • 内外装板金

冷凍空気調和機器施工

  • 冷凍空気調和機器施工

建具制作

  • 木製建具手加工

建築大工

  • 大工工事

型枠施工

  • 型枠工事

鉄筋施工

  • 鉄筋組み立て

とび

  • とび

石材施工

  • 石材加工

  • 石張り

タイル張り

  • タイル張り

かわらぶき

  • かわらぶき

左官

  • 左官

配管

  • 建築配管

  • プラント配管

熱絶縁施工

  • 保温保冷工事

内装仕上げ施工

  • プラスチック系床仕上げ工事

  • カーペット系床仕上げ工事

  • 鋼製下地工事

  • ボード仕上げ工事

  • カーテン工事


サッシ施工

  • ビル用サッシ施工

防水施工

  • シーリング防水施工工事

コンクリート圧送施工

  • コンクリート圧送工事

ウェルポイント施工

  • ウェルポイント工事

表装

  • 壁装

建設機械施工

  • 押土・整地

  • 積込み

  • 掘削

  • 締固め

築炉

  • 築炉


上記の対応職種はいずれも建設現場などで必要不可欠な作業であり、重要な仕事が網羅されています。


この中でも「とび」や「建設機械施工」「型枠施工」は、技能実習計画認定の件数が多い職種で、建設現場で学ぶ実習生が特に多い職種です。


業務における時間の割合


技能実習生にはいくつかの業務が存在します。


  • 必須業務

  • 関連業務

  • 周辺業務


必須業務は技能実習でメインとなる業務で、関連業務は必須業務に関連する内容の業務、周辺業務は特定のスキル・知識がいらない業務です。


それぞれの割合は定められており、年間で定められている実習時間のうち、過半数が必須業務でなければなりません。そして、半分以下が関連業務で、3分の1以下が周辺業務と決まっています。


ちなみに3つの業務それぞれに安全衛生業務が存在し、年間の実習時間の10%以上を費やさなければなりません。


建設業の技能実習生を受け入れる要件


建設業において技能実習生を受け入れるための要件について解説します。


建設業法第3条の許可


建設業を営む際、建設業の許可を得ないと大規模な工事を引き受けられなくなっています。工事の請負代金が一定額を下回る「軽微な建設工事」は例外ですが、それ以外の工事を引き受ける際には建設業法第3条の許可が欠かせません。


建設業で技能実習生を受け入れる際には、まず建設業法第3条の許可が必要であり、28の業種の中で営業を行う業種をすべて取得する必要があります。


建設キャリアアップシステムの導入


技能実習生を受け入れる際には、建設キャリアアップシステムへの登録が求められます。


技能者が保有する資格や社会保険の加入状況などを登録することで、技能者の能力などが可視化され、処遇改善につながっていく仕組みになっています。


建設キャリアアップシステムの登録は受け入れ企業だけでなく、技能実習生も登録しなければなりません。


欠格事由に当てはまらない


建設業に限らず、技能実習法違反など、過去に関係法令の違反を犯して処罰などを受けていた場合には欠格事由に該当します。この場合は技能実習生の受け入れができないため、注意が必要です。


また、入国管理法などで罰金刑以上の処分を受けた場合も欠格事由に該当します。


一度欠格事由に該当した場合、その後は二度と受け入れができないわけではなく、刑の執行が終わって5年など、一定の期間を置けば再開できます。


月給制で日本人と同等以上の賃金


技能実習生を受け入れる際には、日本人と同等以上の給与を月給制で用意する必要があります。不当に安い賃金で就労させることは、法令違反となります。


技能実習生に安定した報酬を提供するため、天候などの理由による休業を含め、使用者側の都合で休業する場合は、労働基準法に基づいて平均賃金の60%以上を支払わなくてはなりません。


技能実習生の受け入れ人数


技能実習生の受け入れ人数に関してもルールが存在します。原則として技能実習生の総数が、常勤職員の数を超えてはいけません。


ただし、監理団体・実習実施者として優良と判断された優良基準適合者に関しては、このルールは適用されません。


優良基準適合者となれば、技能実習1号であれば基本人数枠の2倍、2号なら4倍、3号なら6倍まで可能です。


この基本人数枠は、常勤職員の数で決まります。例えば、30人以下であれば1号だと3人まで受け入れ可能となり、優良基準適合者なら6〜18人まで受け入れが可能です。


監理団体への加入


技能実習の受け入れ方法は企業単独型・団体監理型の2つがありますが、企業単独型は自社で技能実習生を受け入れる必要があるため、現在のところほとんどが団体監理型を選んでいます。


団体監理型では、監理団体に加入し、送り出し機関を通じて技能実習生を受け入れる形になります。


技能実習の責任者・指導員、生活指導員の配置


技能実習生を受け入れる際は、責任者・指導員、生活指導員を立てて、適正な管理を行わなければなりません。


日本での生活に適応できるよう、環境を整える準備を行う担当者を決めることで、さまざまな問題を事前に解決していくことが可能です。


技能実習生の住居確保


技能実習生の住居確保も重要な要件です。技能実習生にしっかりとした住居を提供するため、事前に定められた基準を満たす必要があります。


他にも実習場所と住居の距離が適切であることや、清潔な環境など色々なルールを満たすような住居を整備することが必要です。


確かな環境でなければ、外国人も安心して実習に参加できません。


社会保険の加入


技能実習生の社会保険の加入も当然必要です。技能実習生は他の従業員と同じ枠組みで扱われるため、健康保険や雇用保険などに加入させなければなりません。


建設業では労災保険があることで事故が起きてもしっかりと医療を受けられます。


社会保険の加入に関しては給与から天引きされるため、天引きの理由を採用時など事前に説明することが大切です。


規定帳簿の作成と保管 


技能実習生を受け入れる際には、技能実習生の実習状況を始め、どのような宿舎に住んでいるかなどの記録をまとめなければなりません。それが帳簿であり、書類には実習生の実習時間を始め、実習の現状や給与などを事細かに記載します。


この帳簿は決まったタイミングで関連機関に提出しなければなりません。


受け入れから業務開始までのスケジュール


実際に技能実習生を受け入れる際、業務開始までどのようなスケジュールで動けばいいのかについて解説します。


監理団体の支援による受け入れ活動


監理団体に加入して、監理団体の支援を受ける形で技能実習生の受け入れを行います。


監理団体は求人情報などの資料を共有してくれるため、それを基に人材を見つけて面接などを進めていくのが通常です。


受け入れ決定


面接の結果、実習の見込みがあると判断できれば、雇用契約の締結です。


この段階で、建設キャリアアップシステムの登録を済ませます。


技能実習計画の策定


雇用契約などを済ませたら、技能実習計画を作っていきます。


技能実習計画を作る際には、どのように実習を行うかを決めるのはもちろんのこと、実習実施者の選定や住居の確保なども必要です。


技能実習計画を作成したら書類をまとめて、外国人技能実習機構へ申請を行います。


機構に書類を出す際には、間違った情報だと審査に時間がかかるため、事前の見直しが大切です。


在留資格の申請手続き


機構への申請などが終了したら、在留資格の申請手続きを行います。こうした手続きも監理団体のサポートがあるため、初めての受け入れでも安心です。


監理団体を利用するメリットとして、さまざまな分野に精通しており、スムーズな手続きを行える点が挙げられます。


技能実習生の入国


在留資格が取得できれば技能実習生が入国するため、事前に用意した住居に案内します。


入国後に講習を受ける


技能実習生は入国後1か月間は、講習などを受けます。日本語や生活に関する講習を受けますが、技能実習最初の1年にカウントされるため、計画を立てる際に考慮しなければなりません。


業務開始 


いよいよ技能実習生として、実習がスタートします。余裕のあるスケジュールを組むほか、過度に働かせて失踪を誘発したり、人権侵害につながったりすることがないよう、適切な指導が必要です。


まとめ


建設業はどの国にもある業種であり、日本の建設技術を母国に持ち帰れば、かなり重宝することは間違いありません。


だからこそ、しっかりとした技術を教えるためにも、違法行為などで受け入れ停止にならないよう、ルールに則った対応が必要です。


サークルズ協同組合は、2000年に設立された監理団体です。長年の経験を活かして、受入企業様にも実習生にも安心のサポート体制を提供します。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください





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